営業

ナーチャリングとは?手法やメリット・デメリットも紹介

ナーチャリングの手法

近年は、インターネット技術の発達などに伴い顧客獲得の競争が激化しています。同業他社との差別化が困難な状況の中で顧客獲得をするには、適切な情報発信と育成が大切です。マーケティング戦略が適切でなければ顧客獲得に結び付かず、売上が低下してしまい業績が悪化するリスクがあります。このような課題を解消するために注目されているのが「ナーチャリング」です。

この記事では、ナーチャリングの基礎知識や手法、メリット・デメリットについてご紹介します。

 

ナーチャリングとは

ナーチャリングは、獲得した見込み顧客を育成し、将来的な受注につなげていくマーケティング戦略です。ビジネスにおいて自社の売上を向上させるには、「新規顧客の獲得」「購買頻度の向上」「顧客単価の向上」の3つが基本です。ナーチャリングには複数のアプローチ手段があり、それぞれ施策内容も異なります。

ナーチャリングの種類

ナーチャリングは、主に「新規顧客」「既存顧客」「優良顧客」の3つに分けて進めます。

新規顧客の場合

新規顧客の獲得はマーケティング戦略の最重要課題の1つであり、最もコストがかかるフェーズです。マーケティング領域では、新規顧客獲得コストは既存顧客が購買に至るコストの約5倍かかると言われています。

既存顧客の場合

自社の製品・サービスに対してより愛着心を高められるかが重要になるフェーズです。アップセルやクロスセルを実施しつつ、顧客との関係性を深めて優良顧客へと育成していけば、顧客単価・購入頻度の向上が期待できるでしょう。

優良顧客の場合

自社に対する貢献度が高い顧客でもナーチャリングは有効です。同業他社が自社よりも優れた製品やサービスの提供を開始した場合、確保している優良顧客が移行してしまうリスクもあります。

そこで、製品・サービスといったモノの提供ではなく、応対品質や独自のプロモーション戦略などのコトの提供をする必要があります。長期的に自社との関係性をつなげておくためにも、適切なマーケティング戦略を実施しましょう。

ナーチャリングの重要性

ナーチャリングの重要性

ナーチャリングが重要視される理由は以下が挙げられます。

能動的な情報収集が可能になった

現代はスマホやSNSの普及によって、気軽に製品・サービスについて情報収集できる時代です。競合製品との競争が激化しており、競合比較に負けないようアプローチを行うナーチャリングが注目されています。顧客の情報収集意欲を掻き立てるアプローチができれば、自社製品・サービスを選んでくれるでしょう。

見込み顧客の質が求められるようになった

見込み顧客を獲得する選択肢が増えたことから、母集団形成が可能になっています。しかし、母数が増えると見込み度合いの低い顧客も多く集まってしまう懸念があります。売上につなげるためには、見込み度合いの高い顧客に効率的にアプローチしなければなりません。段階的な施策毎に顧客のニーズを把握できれば、受注率向上も期待できるでしょう。

長期的なマーケティング施策が必要になったため

先程ご紹介したとおり、情報を気軽に検索できることから購入に至るまでの期間が長期化している傾向にあります。中には、案件化までに数か月から数年かかるケースもあるため、顧客一人当たりの受注が非常に重要になります。販売側も長期的な目で段階的にアプローチを行うナーチャリングで、成約確率を最大化させていくことが大切です。

休眠顧客の掘り起こしのため

休眠顧客とは、過去に契約したものの現在ではやり取りしていない顧客のことです。特にBtoBビジネスでは、新規サービス提供期間などで休眠顧客が増えてしまう傾向にあります。休眠顧客は、製品に対する理解があるためナーチャリングを実施して再度アプローチすれば再契約につながりやすいです。適切なアプローチを行えば、優良顧客へと育成できるでしょう。

ナーチャリングのメリット

現代のビジネス戦略においてナーチャリングは必要不可欠です。では、ナーチャリングを実施することでどのような効果が期待できるのでしょうか。

営業活動の効率化

ナーチャリングを実施しておけば顧客の興味関心や行動が可視化されるため、見込み度合いの高い顧客を選別して営業活動を行えます。そのため、営業効率が向上するとともに受注率向上が期待できます。

機会損失の防止

確度の高い顧客へのアプローチに注力するあまり、見込み度合いの低い顧客は放置されがちです。しかし、市場のニーズが変化すると、見込み度合いの低かった顧客が関心を寄せることも少なくありません。その際に、放置したままにしておくと競合他社に乗り換えてしまいます。

マーケティング部門から営業部門へ引き渡す際に、適切なナーチャリングを行いつなぎ留めておくことで、機会損失を防げるでしょう。

長期的な顧客対応をシステム化できる

先程もご紹介したように、購入に至るまでの期間が長期化していることから、販売手側も長い目で顧客をフォローしなければなりません。しかし、営業担当者が継続的にフォローしていくには限界があり、非効率的です。

継続的に既存顧客との関係性を構築できれば、長期的な売上が見込めるでしょう。また、ナーチャリングを長期的かつ計画的に行なうことができれば、蓄積されたノウハウが企業の財産となりシステム化につながります。

ナーチャリングのデメリット

業務効率の向上や機会損失の防止などのメリットがある一方で、気をつけておくべきこともあります。無駄な施策を講じないためにも、デメリットを理解しておきましょう。

成果を得るまでに工数を要する

段階的に育成していくアプローチ手段なため、短期間で効果を発揮するのは難しいでしょう。そもそも見込み顧客は自社製品について詳しく知らない方が多く、早急に売上を伸ばしたい場合は避けるべき手段です。一方、受注に至るまで根気強く適切なアプローチができれば、継続的な売上が見込めるでしょう。

集客できていることが前提

顧客の育成が目的なため、事前にある程度の顧客数を集客できていなければなりません。集客数が少ない状態でアプローチをしても効果が得られないため、まずは顧客を集客するところから注力していきましょう。

導入リソースがかかる

新しい施策を講じるには導入リソースが不可欠です。特に長期的に育成に励むナーチャリングは工数がかかるため、人的リソースも必要になります。また、見込み顧客情報の管理やメーケティング活動の記録などが必要となることも、視野に入れなければなりません。効率化を図るうえでは、ITツールの導入も有効です。

ナーチャリングの手法

ナーチャリングの手法

見込み顧客・既存顧客の育成を行う上で、有益な情報を提供し購買行動を促すのがナーチャリングの目的です。そのため、市場調査や需要予測などを分析して、顧客が求めているコンテンツを提供する必要があります。予算やリソースなどから適切な手法を選択することが成功への第一歩です。ここでは、代表的なナーチャリングの手法についてご紹介します。

メール

現状最も多く利用されている手法がメール配信です。クリック率や開封率などの効果測定がしやすく、導入するハードルも低い特徴があります。メール手法には、条件ごとに分類された見込み顧客たちに対し、メール内容を変えて送信するターゲティングメールや、ストーリー性のある複数のメールを段階的に送信するステップメールなどが挙げられます。

SNS

TwitterやLINEといったSNSを活用して情報発信する手段です。メールとの違いは、発信した情報が別のユーザーにも一気に拡散されるため、認知度やブランディングの向上が期待できる点です。多くのSNSは無料でアカウント開設できるため、導入のハードルも高くありません。ただし、ファンを獲得するまで良質なコンテンツを発信し続けることが求められます。

オウンドメディア

オウンドメディアとは、自社が運営するメディアのことです。自社製品の基本的情報に限らず、開発に至った経緯などの発信にも適しています。単体での運用だけでなく、ペイドメディアと組み合わせ実施することで集客力の強化につながります。

セミナー・ウェビナー

セミナーの開催は、見込み顧客獲得だけに限らず育成の点でも効果的な手法です。セミナーに参加する人の多くは、自社製品・サービスにある程度の興味・関心を持ってくれているため、効果的なアプローチの実施によって効果が期待できます。

現在は、新型コロナウイルスの影響でセミナーの開催が難しいことから、オンライン上で行うウェビナーが増えつつあります。ウェビナーの場合は、実施後のアーカイブを動画配信サービスで配信すればより多くの人に閲覧してもらえるでしょう。

まとめ

新規顧客獲得が困難な中、自社の売上を増やすためには既存顧客の育成が必要です。ナーチャリングは、既存顧客の育成や休眠顧客の掘り起こしなど様々なメリットが期待できます。ただし、短期間で効果を出すのが困難な点と、一定数の見込み顧客を集客できていることが前提となる点が課題です。手法に関しては、従来でも主流であるメール営業や近年、利用率が増えているSNS、自社が運営するオウンドメディアなど多岐にわたります。顧客に応じて適切なナーチャリングを実施しましょう。

あわせて読まれている記事

この記事を書いた人

a.kusanagi
a.kusanagi

エッジテクノロジー株式会社AIプロダクト事業部マーケティング担当。営業ノウハウをわかりやすく記事にまとめてお届けします。

今やるべき新規顧客開拓のためのオンライン営業施策