デジタルセールスとは?メリット・デメリットから具体的な方法まで解説
新型コロナウイルスが猛威をふるっていた時代は過ぎ去りましたが、その影響はいまだに色濃く残っています。ビジネスの現場も例外ではなく、めまぐるしい情勢の変化に、営業活動の苦戦を強いられたことでしょう。営業の手法が変わりつつある今、「デジタルセールス」について理解を深めておくことが不可欠です。この記事では、デジタルセールスの基礎知識やメリット・デメリット、そして詳細なプロセスまで解説します。
目次
そもそもデジタルセールスとは?
デジタルセールスとは、ITツールを用いて行う営業活動のことです。営業シーンにおいて、電話やメールといった手段は以前からよく使われていました。近年はテクノロジーの進化により、営業活動に特化した便利なツールが続々と登場し、デジタルセールスの普及が加速しています。
SFA(Sales Force Automation)はその代表格で、タスク管理やプロセスの可視化など、あらゆる営業支援機能が搭載されています。SFAがあると無いとでは、成果に雲泥の差が生じるほど、デジタルセールスを行ううえで欠かすことのできないツールです。
デジタルセールスは、事前の情報収集からアポイントメント取得・商談、そして契約締結と、すべてのプロセスがオンライン上で完結します。顧客と直接、顔を合わせる従来の営業とは対照的に、画面上でのコミュニケーションを通じて行われるのが大きな特徴です。
デジタルセールスが必要とされる3つの要因
昨今、これほどまでにデジタルセールスが求められるようになったのはなぜなのでしょうか。そこには、「便利だから」の一言では表しきれない背景が存在します。ここでは、デジタルセールスが求められるようになった要因として考えられるポイントを3つ解説します。
顧客の購買行動が変化したこと
製品の購入を検討している顧客が、Web上で事前に企業情報・製品情報を入手できるようになったことは、特に大きな変化です。近年は、どの企業もWebサイトの充実を図っており、オウンドメディアを通じた情報発信にも力を入れています。営業担当から直接、製品やサービスについての説明を聞かなくても、容易に情報が得られるようになったことが影響しています。
企業と直接コンタクトを取らずに、購入の検討を進める顧客をアンノウン・リード(Unknown Lead)といいます。このアンノウン・リードに対していかに接触し、関係を築いていくかは、デジタルセールスを成功させるためのキーポイントです。
顧客情報の把握が容易になったこと
「情報を得やすくなった」のは顧客側だけではありません。企業側も、顧客がいつどのようなWebページにアクセスしたのか、どのような広告をクリックしたかなどの情報を得ることが可能です。顧客の興味・関心や行動パターンを知ることで、よりよいソリューションを提案できたり、製品の売り込み方に変化を加えたりできます。
収集した顧客データを活用し、商談にうまく反映することができれば、成約獲得率の向上につながるでしょう。
対面営業が避けられるようになったこと
新型コロナウイルスの流行により、対面での営業活動が憚られるようになりました。営業シーンに限らず、あらゆるビジネスの場がオンラインに移行し、感染拡大が収まりつつある現在でもすっかり定着しています。突然オンライン化を迫られ、対応に苦労した企業も多いのではないでしょうか。感染拡大を防止できるだけでなく、訪問における移動時間がかからないなど、さまざまなメリットがあるため、デジタルセールスが行われる機会は今後も増えていくとみられます。
デジタルセールスを導入するメリット
オンライン上で営業活動を行う特性上、業務効率や働きやすさが改善されるという点が大きいといえます。以下で詳しく見ていきましょう。
営業エリアを広げられる
顧客先まで直接出向く必要がないため、遠方の顧客に対しても営業活動が行えます。遠く離れた地方の顧客や、海外に拠点を置く企業へもアプローチでき、製品やサービスの導入につなげることが可能です。
より広いエリアへ進出し、営業活動の幅を広げることができるのは、デジタルセールスならではの大きなメリットといえます。
リモートワークが可能
デジタルセールスは、場所を選ばずに業務を行える利点もあります。リモートワークを導入している企業であれば、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、好きな場所での作業が可能です。
特に、働きながら育児や介護をしている社員にとっては、心身の負担を軽減する観点から嬉しいメリットであるといえます。
商談数を増やせる
対面営業では、どうしても移動時間が発生するため、一日に行える商談の数に限りがあります。一方、オンライン上で商談を行うデジタルセールスでは、移動時間を削減できるため、より多くの時間を商談に充てることが可能です。商談数を増やすことができれば、おのずと成約獲得数も伸びるでしょう。
しかし、一つひとつの商談に対する集中度が下がってしまっては本末転倒です。どの顧客に対しても真摯に向き合い、課題解決をお手伝いする姿勢は忘れないようにしましょう。
顧客の行動を数値化できる
顧客が取るアクションの一つひとつを数値化し、管理できるようになると、次に取るべき行動が明確になります。「なんとなく~~だから」「~~な気がするから」といった勘や、経験則に頼らないロジカルな判断を下すことが可能です。
データという確かな根拠に基づいたアプローチを実施することで、プロセス全体の無駄を省け、業務効率化にもつながります。
デジタルセールスを導入するデメリット
ここまで、デジタルセールスのメリットを紹介してきました。一見、よいことずくめにも見えるデジタルセールスですが、気を付けなければならないデメリットもあります。
ツール導入のハードルが高い
デジタルセールスに用いられるツールには、導入にあたって高額なコストが必要なものもあります。十分な費用対効果を望めるかどうか、事前によく検討してから導入ツールを決める必要があります。
また、新規に営業ツールを導入した際、もともと独自に管理していた顧客データを同期・移行させる必要が生じます。社内のIT化があまり進んでおらず、デジタルに精通した担当者がいない企業にとっては、やや難易度の高い作業かもしれません。
最近では、簡単に連携を行えるツールが多いものの、膨大な量のデータを扱うには少なからずリスクが伴います。万が一に備えて、データのバックアップを取っておくと安心です。
画面越しのコミュニケーションは誤解を招くことも
デジタルセールスで必要となるコミュニケーションは、すべて画面上で交わされます。離れた場所にいてもやり取りができるのは便利ですが、それがマイナスに作用する場合があることには注意が必要です。
お互いの表情や声色がわかりづらく、自分の提案がうまく伝わらない、もしくは相手の言いたいことが飲み込めないといったことが起こりえます。商談が意図しない方向に進んでしまい、最悪の場合、成約に失敗してしまうおそれもあります。
デジタルセールスを進めるステップ
メリットとデメリットが整理できたところで、続いてはデジタルセールスの具体的なステップを解説します。対面営業との違いを意識しながら、デジタルセールスの手順を理解していきましょう。
リードを獲得する
最初のステップとして、まずはリードを獲得します。自社の製品・サービスは、どの層に訴求したいものなのか明確にしたうえで、ターゲットを絞り込みましょう。
MA(Marketing Automation)ツールで得られたデータをもとにアプローチするのも一つの手です。本来、マーケティングによく用いられるツールであるMAですが、このデジタルセールスにおいても非常に役立ちます。
リードの獲得方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
リードを育成する
次に、獲得したリードとの関係性を構築し、購買意欲を高めます。電話やメールで定期的にコミュニケーションを交わすことはもちろん、オンラインセミナーを開催し、有益な情報を発信するのもよいでしょう。
メルマガやSNSの効果測定を行いたい場合、ここでもMAが活躍します。顧客の行動を分析し、その結果をもとに、施策に修正を加えていきましょう。SFAもあわせて活用し、組織内で情報の連携を図るとなお効果的です。
リードの育成に効果的なナーチャリングに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
商談を実施する
リードの興味・関心を十分に引き寄せられたら、いよいよ商談に移りましょう。
商談を行ううえで便利なツールがCRM(Customer Relationship Management)です。日本語に訳すと「顧客関係管理」といい、顧客の属性や購買データはもちろん、商談の進捗まで一元管理できます。
アフターフォローを行う
商談をうまくまとめ、成約の獲得に成功したあとも、定期的にアフターフォローを実施しましょう。契約を成立させて終わり、ではなく、その先まで併走することが顧客満足度の向上につながります。
まとめ
この記事では、デジタルセールスという用語の意味からメリット・デメリット、実施するプロセスまで解説しました。これからの時代はデジタルセールスが当たり前となり、MAやSFAといったツールの使用機会も増えていくことが予想されます。いち早くデジタルセールスの知識を身につけて、実践を積んでいきまし