AIで営業はどう変化する?現場での活躍や活用プロセスも紹介
近年はAI技術の進歩が著しく、あらゆるビジネスシーンで活用されています。これまで担当者が直接取引先へ訪問し商談などを行っていた営業も、AI技術を取り入れることで課題解決が期待できます。
この記事では、AI技術を取り入れた営業は従来のスタイルからどのように変化していくのか、具体的な活用方法やプロセスを交えながらご紹介します。
目次
営業活動でAIを使うメリットとは
営業にAIを取り入れることで、バックオフィス業務の効率改善などが期待できます。ここでは、AI技術が営業で導入された背景とメリットをご紹介します。
時流の変化に適している
インターネットの普及、政府が推進を進める働き方改革、新型コロナウイルスなど様々な要因が相まってテレワーク業務を導入する企業が増えています。営業もオンライン商談ツールなどを導入し、オンライン上での営業活動が主流となっています。
しかし、営業担当者の業務は取引先との商談や受注獲得だけではありません。商談時などで活用する資料作成や顧客情報のデータ入力などバックオフィス業務も兼務していることがほとんどです。
従来のバックオフィス業務は、手間と労力がかかり本来の業務に注力できない課題がありました。そこで、AIにバックオフィス業務を一任させれば、本来の業務に注力でき営業効率の向上に期待できます。
AIツールによりDX化を促進できる
DXとは、最新のデジタル技術を活用した、企業活動の効率化推進を指します。DX化を実現するには、クラウドなどの最先端テクノロジーの活用が求められ、AIもその一つです。AIがDXで果たす役割としては、データ分析やデータ活用などが挙げられます。
企業で収集・蓄積したビッグデータをAIに分析させることで、営業を成功させるためのヒントを得られます。導き出されたヒントから、現状の営業活動を改善する施策を講じて業務効率の向上、つまりDX化の促進が可能になります。
AIとツールの併用で作業が効率化する
営業支援ツールであるSFAとAIを併用すれば、さらなる業務効率向上が見込めます。SFAツールで蓄積された顧客情報、案件情報、商談情報、売上予測などを分析・予測して、AIの学習機能により現状の課題を解決する案をシステム側から受けられるようになるでしょう。
営業活動におけるAIの活躍
営業活動の中でも、特に手作業で行ってきた業務の効率化にAIは役立ちます。ここでは、営業活動におけるAI技術の強みをご紹介します。
業務集中が可能になる
従来の営業では、商談内容を議事録にするためメモを取りながら業務に従事する必要がありました。しかし、AIの音声認識機能を活用すると音声を言語データで文字起こしできるため、商談中のメモを取る手間が省けます。また、AIの音声認識機能は誰がどのような発言したかがデータとして明確化されるので、議事録作成に簡単にできます。
作成した議事録は商談後すぐに相手先へ送付することも可能です。さらに、SFAツールとの連携で営業活動と商談が紐づき、効果的な営業トークがパターン化され、確度の高い商談の流れが導き出せます。
24時間の顧客対応ができる
AI搭載のチャットボットも営業効率向上に役立ちます。チャットボットは、テキストや音声で顧客からの問い合わせに自動で対応するコミュニケーションツールです。
営業活動では、顧客からの問い合わせに対し素早い回答ができないと商談機会を逃してしまいます。そこで、24時間365日稼働し続けるチャットボットを導入すれば、顧客からの問い合わせに瞬時に対応できます。問い合わせの内容に関しても、チャットボットが学習し常に最新のナレッジを更新していくため、定期的な研修も不要です。
営業メールを効率化できる
過去の資料請求データなどから見込み顧客になりうる相手をリスト化して、適切な頻度で営業メールを自動送信します。
AI活用に向けたプロセス
AIを導入には、いくつかのフェーズを踏んで体制を整えておく必要があります。また、導入後も課題が浮き彫りになることも少なくありません。ここでは、AIを実際に業務へ取り込む際のプロセスをご紹介します。
AI導入計画を立てる
AIを業務に導入するに至っては、まず初めにAIの導入を社内に周知する必要があります。社長や経営層、現場の社員などにAI導入の必要性を理解してもらうことが非常に重要です。社内への周知ができたら、担当者を選定し導入に向けた計画を立てていきます。
現状を把握し構想する
現状の課題を精査して、AIの導入によって解決できる内容を明確化させていきます。注意点として、AIを課題解決の目的として導入するのではなく、解決するための手段として活用する視点を持つことが大切です。
現状を把握する際に、複数の課題が浮き彫りになることも少なくありません。その際には、解決すべき課題の優先順位を設定しましょう。優先順位の判断として、AIでしか解決できない部分か、課題解決による効果が表れるかなどに着目します。また、AIを実装するまでの工数やコスト、費用対効果なども加味しながら検討しましょう。
情報収集して設計する
社内にあるデータを収集していきます。一度データを収集したら終わりではありません。現状ではないが今後必要になるデータが定義できたら、蓄積する手段を検討しましょう。システム部門と連携しながら継続的な取り組みを模索していきます。
限られた範囲で検証する
AIを業務に導入する前に、効果が実際の利益にどの程度つながるのかを検証します。実際にモデルとなるモックアップを制作し、データを入力して分析させ想定していた結果が得られるかどうかを検証していきます。検証結果の判断次第では、プロセスの途中で中断する可能性があるため、非常に重要なフェーズです。
業務に組み込んで運用してみる
検証の結果、AI導入によって効果があると判断できれば、実務で稼働させていく段階に入ります。システム開発と同様に、要件定義から設計して開発・検証を繰り返し実装へと進んでいきます。ただし、AIの実装には機械学習が必要です。
機械学習を行わせるデータの種類やデータ処理方法などを事前に設定しておきましょう。AIが正常に稼働するには、多くのデータが必要になるのでデータの量や質を評価するシステムの運用保守と同時並行で行っていきます。
PDCAを回して改善を繰り返す
PDCAとは、業務を効率的に実行し改善するための手段です。どの業務でも、場当たり的に作業しても生産性は向上せず、継続的な成果を上げるのは困難です。営業も同様で、商談の成功・失敗に限らず振り返りを行うことで、次への行動につながります。
営業のPDCAは、まずマーケティングの結果分析されたターゲットを特定し、いつ頃訪問するかの計画を立てます。日程が決まったら、当日相手方のもとへ訪問し商談を行います。商談後は、日報を作成して営業活動の内容を見直し振り返りをする流れです。
振り返りの際に、浮き彫りになった改善点を把握して、また最初のフェーズから始めていきます。何度も繰り返しPDCAサイクルを回すことで、商談の質が高まり効果的な営業を実現できるでしょう。
まとめ
働き方改革やDX化の推進、新型コロナウイルスなど様々な要因でAI技術を業務に導入する企業が増えています。営業活動においてもバックオフィス業務をAIに一任させることで、業務効率の向上に期待できます。
また、商談内容を録画して振り返りを行えるので、次回以降の商談に有効活用できます。ただし、効果を得るためには事前計画を立てて、導入後もPDCAサイクルを回し営業の課題を改善していくことが大切です。